生産者紹介
匠の箱
- 表の見方
- 所在地
- 名前
- 店舗名
- 職業
- おすすめ商品
- 生年月日
- 星座
- 座右の銘
- 京都府
- 三桝武男さん
- 匠の箱
- 柿渋生産者
- 敷パッド(両面柿渋染)100cm×200cm
- 1931/11/30
- いて座
- 柿渋一筋
私のこだわり
〇こんなに柔らかい柿渋染めは初めて!私も愛用しています。〇柔らかい風合いの柿渋染め、というのは私の念願でした。
「今まで、液状柿渋で染めた柿渋染めは、ゴワゴワした硬い感じのイメージがありましたが、試行錯誤の末、渋味成分の多い「天王柿」から搾汁した「柿古渋」と、私が開発した顆粒柿渋(平成20年度に京都エコスタイル製品に認定)で染めることにより、柔らかい柿渋染めが可能になりました。出来上がった時は、嬉しかったですね。そうやって初めて、寝具や靴下、ショールなどにも、柿渋の良さが活かせるようになりました。」
京都山城地方で、柿の実を育てるところから、柿渋製品を作っています。
「私の作る柿渋は、高タンニンの含有する天王柿、鶴の子柿などを原料として使用しています。
天王柿は、ゴルフボール状の小粒の渋柿で、タンニン含量が最も高く(渋味が最も強く)、柿渋の原料としては最高のものです。京都山城地方では、先人がお茶と共に渋柿を増殖し、品種改良を重ねた歴史があり、柿渋造りに最適な「天王柿」の産地、そして日本の代表的な柿渋の産地として今日に至っています。」
〇メッセージはありますか?
柿渋の「秘めたるチカラ」を実感して頂ければ嬉しいです!
柿渋は、日本の伝統的な天然塗料・染料そのものです。柿渋の歴史について、古くはわかりませんが、正和4年(1315年)の「紀伊神野・猿川・真国荘荘官連署起請文」には、柿渋を川に流し魚を獲る「柿流」が記載されています。
昔の生活用具は、紙や木などの自然素材で 出来ていたため、消耗、腐食しやすく、その防止のため、一般的に使われたのが柿渋です。
紙や繊維製品に塗ることで、繊維の表面に強靭な皮膜ができて強固 になり、防水機能も持たせることができました。
また、糊に混ぜたり、紙どうしの貼り合わせに塗ったりと、接着剤としても利用されました。
防虫効果もあるので、地方によっては柱や屏風の保存用の袋に塗ったりしています。
また、 二日酔いの防止などの民間医療としても利用されました。効能はマムシの抗毒、火傷、あかぎれ中風や高血圧です。
戦後になると、化学製品の普及でかつて程の需要はなくなりましたが、新たに酒類・調味液類清澄剤としての機能が注目されています。
さらに、その抗酸化作用から、最近では化粧品素材への利用など、新たな分野からも、柿渋がもつ機能が注目されつつあります。
また、柿渋タンニンは優れた消臭効果を持っており、悪臭成分の中和・包括、分解して消臭効果を発揮し、室内環境を改善します。また、口中の消臭・清涼剤としてガムやグミキャンディーなどの食品にも利用されています。
「そういった、柿渋の秘められたチカラを、お客様に実感してほしい。
先人が築いてこられた柿渋を、日本の文化として未来に継承することは、私の大切な使命だと思っています。」
生産者の横顔
〇今までにない、柿渋づくり!三桝さんは、家業の三代目として柿渋造りを学び、原料柿の苗木づくりから、渋柿農園の育成、すべて自分の手で育て、60余年柿渋一筋に励んできました。伝統の柿渋造りはもとより、ニーズにマッチした柿渋染め製品を多くの方々に実感して頂くために、今までにない、柔らかい風合いの柿渋染めの寝具など、柿渋の新しい商品化に取り組んでいます。
その技術が認められ、平成24年度には、京都エコスタイル製品に認定されました。(京都エコ・エネルギー推進機構)
◎昭和20年代後期、化学染料全盛の時代に「なにくそ!」
昭和20年代後期になると、化学塗・染料をはじめ、繊維はナイロン、ビニロン、更にはプラスチック等化学製品が広く普及するようになり、天然素材である柿渋は苦境の時代を迎えました。
「その時は、かえって『なにくそ!』と思いましたね。柿渋には、素晴らしい「ちから」がある。そのチカラを利用して、新しい市場を自分が開拓するしかない、という気持ちでやってきました。私は高校を卒業して家業の柿渋造りを学び始めた時でしたので、心淋しい思いをいたしました。しかし、健康志向で天然素材が見直される時がくるだろう、と心に期待を込めて頑張ってきました。近年、柿渋は、塗・染料だけでなく食品添加物として、酒類・調味液類清澄剤や食品原材料・健康補助食品としてご活用頂くことになりました。その時にご指導やご協力頂いたたくさんの方々に、心より感謝しています。それを励みに今も現役を続けられております。」(三桝さん)
◎柿渋一筋、60余年以上!
三桝さんに、「お休みの日は、何をしているのですか?」と伺うと、「渋柿農園に行きます!」というお返事(!)が返ってきました。
それでは、お休みがないのでは?と言う私に、「楽しいですよ~、柿の木が育っているのを見るのは」と満面笑顔の三桝さん。
柿渋一筋、60余年ー。その柿渋には、柿渋を未来につなげんとする、作り手の魂がこもっています。