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生産者紹介 蛙印染色工芸

生産者紹介
蛙印染色工芸

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蛙印染色工芸をブックマーク
  • 埼玉県
  • 大澤一雄さん
  • 蛙印染色工芸
  • 藍染め職人
  •  
  • 1969/12/25
  • やぎ座
  • 妥協しない、手抜きしない。

私のこだわり

大澤さんの本藍染めのこだわりとは?

100%天然だから、人にも環境にも優しい藍染めということですね。
藍染をしている工房の多くが、化学藍か、すくも藍の色素を化学薬品で抽出する「化学建て」で藍染をしていますが、当工房は江戸期より伝わる「灰汁発酵建て」という技法で藍染をしています。
灰汁発酵建ての藍染は、化学薬品を一切使わずに、自然からとれる原料を用いるため、環境にも優しい染色方法で、自然にも人にもやさしいのが特長です。
色素を出し切ったすくもでも、畑などにまけば良い肥料になり、土にかえります。 自然を汚さず、あの色を創ることが出来るのが、灰汁発酵建て藍染の最大の魅力です。


生産者の横顔

妥協しない、手抜きしない。

大澤さんと話していると、手間もコストもかかる、天然灰汁発酵建ての藍染に対する、強い想いを感じます。

「現在、灰汁発酵建ての藍染は全体の数%程度と言われています。手間もコストもかかりますが、『本物』を作りだすため、とことんまでこだわっています。
近年では、化学的に藍染と同じような色素を合成した「インディゴ」を使用し、苛性ソーダやハイドロなどの薬品を用いて作る液で染められたものが多くを占めます。
このような合成藍は、灰汁発酵建てと比べて手間もコストもかからず、1~2度の染色で容易に濃い色を染めることができますが、色合いや、肌への優しさは灰汁発酵建てには到底かないません。
また、藍を使用していても、その他の材料に化学薬品を用いる化学建てという方法や、藍とインディゴを混ぜて使う割建てという方法もあり、その多くが、本藍や正藍などとうたわれ市場に出回っているのが現状です。

灰汁発酵建ては、藍と灰汁の他に、日本酒、ふすま(小麦の外皮)、石灰を使用し発酵させています。藍の葉の中には人体に好影響を与える成分が多数含まれており、当工房では270ℓの樽に半俵の藍の葉を惜しみなく使用しています。
灰汁で発酵させている藍染めの液は防虫、消臭、殺菌効果に優れています。体質もあり、万民に効能があるとは言えませんが、かぶれやアレルギーに効果がある方もいます。

また、効能もさる事ながら、何と言っても、発酵させた藍の液で濃色まで重ね合わせた藍色は、太陽光によって、紫色に見えたりもするので、天候によっては、同じものでも紫紺に見えたり、濃紺に見えたりと、化学染料では決して表現できない色だと自負しています。」(大澤さん)

大澤さんは、毎日欠かさず、工房の藍甕の中の藍を何回かかき混ぜ、藍の様子を見ます。

「そこで、石灰を入れたり、灰汁を入れたりして、藍の発酵を保ちます。灰汁発酵建藍染の藍染めは、藍甕の中で、藍が生きているので、ペットと同じで、たゆみない世話が必要なんです。誰かが面倒を見なければいけないので、家族旅行にも、なかなか行けないですね。」(大澤さん)

大澤さんのお話を聞いていると、その手間に頭の下がる思いですが、大澤さんは、目をキラキラと輝かせて、話し続けます。

「何十回と重ね染め上げた『とめ紺』の色が、太陽光に反射した時の色は、本当に美しいですよ。紫色にキラキラと輝くんです。あの色は、決して化学藍では表現できない色だと思っています。何故なら、藍の葉に含まれる様々な色素が、とけだして創られる色だからです。
ぜひ「本物」の藍染を手に取っていただければと思います。」(大澤さん)

そう話す大澤さんの手を見せてもらうと、藍で染まって、爪まで真っ青です。

今日も大澤さんは、その真っ青な手で、キラキラと輝く「本物」の藍染めを染めていることでしょう。


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